海月の本棚。

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君の名前で僕を呼んで 【映画の感想】

 

【感想】

北イタリアの美しい景色とともに描かれる17歳の少年のひと夏の恋。

冒頭~最後まで映像が綺麗すぎる。

静かで詩的な映画だった。

主人公のエリオはインテリで繊細な美少年で、その内面が少ないセリフと細かい演技で表現されている。地元の女の子たちと楽しそうに踊るオリヴァーを見つめる視線。そんなに好きなのに、エリオの内面は複雑で、オリヴァーとの距離感を図りかねている。オリヴァーのことを好きすぎて意識しすぎるばかりに、ぎこちない反応を返してしまって誤解させたり。

ひとりでメモ帳に気持ちを書きながら「嫌われたのかも?」とか、些細な事を気にするけど、傍から見るとそんなんじゃオリヴァーには伝わらないよって言いたくなってとても歯がゆい。とにかくエリオの心の中はオリヴァーでいっぱい。

エリオの心の揺れ動きに観てるこっちまで、揺はれ動いてしまう。

映像がとても綺麗で優しい青と緑と白が印象的な画面だった。

どうやったらあんな綺麗な場面を思いつけるんだろう?

俳優さんの演技もとても上手でエリオとオリヴァーが本当にこの世界のどこかにいるんじゃないかって思えるくらい自然だった。

セリフが少なくて、二人はお互いの気持ちを目線やしぐさで探り合うような場面も多いから、それをできるの本当にすごい。

君の名前で僕を呼んで

の意味は恋人同士でお互いの名前を交換することでした。

お互いの名前を呼び合う場面切なすぎる。

ふたりが一緒にいられた時間はとても短くてエリオが母親に「迎えにきて」って言ったところで一緒に泣いた。

ラストの電話してるところも涙が止まらなかった。

登場人物がみんないい人だったのも余計に切なくなってしまった。

それでもふたりは結ばれない。エリオの中には一生消せない記憶として残ってしまうのかな・・・・

「ひとの心と肉体はたった一度しか与えられないものなんだ。そして、そのことに気づく前に心は擦り切れてしまう。今はただ悲しく辛いだろう。だが、それを葬ってはいけない。お前が感じた喜びをその痛みとともに葬ってはいけない」

 

最後の方の父親の言葉が印象的でした。

エリオの中には一生忘れられない記憶としてオリヴァーへの気持ちが残り続けるのかもしれないけど、お前が感じた喜びをその痛みとともに葬ってはいけないって言ってくれる父親がいて良かった。

 

【感想2】

映画そのものに心を奪われてしまった。

こんなに感動したのは久しぶりで、セリフや間の取り方や映像の取り方が気になって仕方なかった。綺麗な物を撮ったり描いたりしたいと思った。

 

 

原作の小説も買ってきたので今読んでます✨