海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

天涯行き 凪良ゆう

 

あらすじ。

名前しか知らない相手と、夜ごと激しく抱き合って眠るーーーー。旅の青年・高知をなりゆきで家に住まわせることになった遠召。戻らない恋人を待ち続ける遠召と、人懐こい笑顔と裏腹に、なぜか素性を語らない高知。互いの秘密には触れない、共犯めいた奇妙な共同生活。この平穏で心地良い日々はいつまで続くんだろう・・・・?けれど、ある日、高知が殺人未遂事件の容疑者として追われていると知って!?

 

 

 

 

【感想】

あらすじだけ読むと白夜行。みたいに仄暗いお話を想像してしまう。二人が名前以外知らない状態で一緒に暮らしている日々はひたすら穏やかで、本当にこんな何気ない日常がずっと続けばいいのにって思う。遠召も高知も自分ではどうしようもない部分で不幸を背負ってしまって、どうしてこんないい人が・・・ってやるせない。

タイトルの【天涯行き】っていう言葉の意味の意味を何度も考えてしまう。遠い場所・・・・ここでは無い何処かに行きたかったっていう気持ちの表れなのかな?とか。

ふたりとも心の行き場をなくして、現実感のないまま生きていたのかな?とか。

もう来ない恋人を待ち続ける遠召と逃亡しなくてはいけない高知。どちらも生きてる心地が薄くなりそう。ふたりともどこか投げやりで、もうどうにでもなれば?って思っていそう。この二人が本当に穏やかに暮らしているところのお話をもっと読みたいと思わせる終わり方だった。

この本を読み返すといつも白夜行とか手紙とか東野圭吾作品が読みたくなる。