海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

「パラスティック・ソウル love escape」木原音瀬

どうしようベイビー、君のことを愛してしまいそうだ。

SFファンタジーBLです。

 

 

 

あらすじ。

己の性癖と出自を隠して生きてきた刑務官のケインは、ある日極秘人物H3(エイチスリー)の独房担当となる。彼は寄生体O(オー)に魂を乗っ取られており、半年後フェードアウトして元の精神に戻るまで、自傷行為防止のため全裸で生活させられていた。赤毛の犬耳・犬尻尾を持つ美しい男を日々監視するうち、ケインは一方通行でしか届かない彼の声に夢中で耳を傾けるようになり、H3もまた自身に好意的な刑務官の存在に気づき始める―――。

 

 

 

【感想】

今回の主人公は赤髪の犬耳、犬尻尾を持つビルア種のヨシュア。犬耳、犬尻尾があるおかげで、独房のパネル越しにケインからしか姿が見えない、音声も聞こえないという特殊な設定のお話なのに、ヨシュアの感情がわかりやすくて、可愛いです♡

独房に閉じ込められて、自分はなにも求められない。何も考えないことを求められてるからと無気力に過ごすしかなかったヨシュアがケインの何気ない行動に心惹かれてくのがわかり過ぎる。だってケイン優しいよ。ヨシュアの体調管理が目的だったとしても心が動かされるのわかるよ。

パネルに隔てられているからヨシュアからは顔も声もわからない中で、不思議な交流が始まるのね。

ヨシュアからは想像するしかできない。

ちぐはぐな会話と時に一歩通行なふたりのやり取りが可愛い♡

パネル越しに甘いやり取りを繰り返すもだから、読んででニヤニヤが止まらない。この二人本当に可愛いわ♡

その甘い空気のまま終わらないのが木原先生なのですよ。

 

 

 

H3は寄生体に乗っ取られていて、本来の人格じゃない。自分が接しているのは、自分と喋っているのは、姿、形のない「寄生体」だ。

この容姿だけど、この容姿じゃない、化け物だ。

 

 

しかもH3はあと数か月もすれば本体から排出されてしまう存在だと分かっていても、好きになってしまって・・・・・・

どうすればいい??

っていう最後の難関がケインとヨシュアを待ち受けています。

 

ここからはネタバレなしで書けないので、感想はここで終わりにします。

パラスティック・ソウル最新刊ぜひ見届けてください。

 

 

 

【追記】

小説Dear+ 2022年ハル号

パラスティック・ソウルunbearble sorrow・前篇

 

雑誌に最新作が掲載されたので、過去作を読み返しているところです。

 

 

 

パラスティック・ソウル1~4巻の画像とあらすじだけ張っておきます。

 

あらすじ。

とある科学者が死に、『最後の晩餐』に招かれた縁もゆかりもない四人に“願いの叶う薬”が配られる。大学生の八尋は、その薬を大嫌いな相手・ジョエルに飲ませた。自分を好きになるように――意趣返しにそう願って。第1話《fake lovers》ほか、父の遺産の在り処を聞きだすため、兄の遺体を掘り返して薬を飲ませた芭亜斗の愛憎を描く第2話《dear brother》ほかを収録。近未来が舞台の愛の物語、ついに文庫化。

(収録作品)プロローグ/fake lovers/dear brother/true lovers&書き下ろし
※本作は『パラスティック・ソウル ~はじまりの章~』にも一部収録されております。重複購入にご注意ください。

 

【感想】

fake lovers

願いを叶える薬を2つ持っていることがこの話のポイントだと思う。ジョエルに自分を好きになるようにわざと薬を飲ませて、あとからもうひとつを飲ませてジョエルの気持ちを消す。けれど八尋はジョエルを好きになっていて自分のしたことに苦しむことになる。ジョエルのクズっぷりが木原先生らしくてとても好き。

このお話だけドラマCD化されているので機会があれば聴いてみたい。

 

dear brother

死んだ兄を生き返らせて遺産の在りかを聞き出す。薬を飲ませて兄の記憶を体験していたつもりが・・・・・・なんでも願いの叶う薬も叶えられることに制限がかかっているのが物語を面白くしている。バートが本当に欲しかったものは兄の愛情だと気づいても、死体を生き返らせることはできなくて、本当に欲しいものは永遠に手に入れられないままのラストが悲しい。どうかバートが幸せになるお話も書いて欲しい。

 

 

 

 

 

あらすじ。

五歳児前後の知能しか持たない少年ニコラスと、人間並みの頭脳を持つ老犬ジョン。ハイビルア研究所で暮らす一人と一匹はいつも一緒だった。けれどジョンの寿命が迫ったある日、研究所が火事になり……? 第3話《eternal friend》、少女ミアと“フェードアウト”したハイビルアの青年スタンリーの恋を描く第4話《Girl and Dog》ほかを収録。舞台は近未来、“願いの叶う薬”にまつわる愛の物語、文庫化第2弾。
(収録作品)eternal friend(友情)/Girl and Dog(男女)/eternal friend and more…(友情)&書き下ろし
※本作は『パラスティック・ソウル ~はじまりの章~』『パラスティック・ソウル ~おわりの章~』にも一部収録されております。重複購入にご注意ください。

 【感想】

ニコラスとジョンの本当の正体に気づいてしまった時の恐ろしさと、ふたりが願いを叶える薬を同時に飲んでしまった結果の悲劇が苦しい。一番SF色の強いお話でした。

 

 

あらすじ。

もう一度“願いの叶う薬”で兄・祁壜を生き返らせたい芭亜斗は、何度頼んでも“薬”をくれないライヴァンを監禁する。だが拘束したライヴァンの世話をするうちに、脅迫する側とされる側のはずの二人の間にある感情が芽生え……? 第5話《godchild》、新しい身体を得て生まれ変わったライヴァンと芭亜斗が究極の愛を全うする第6話《parasitic soul》、新世代ハイビルアの書き下ろしを収録。感動の本篇完結巻!!
[収録作品]god child(BL)/parasitic soul(BL)&書き下ろし(BL)

 

【感想】

今まで謎に包まれていたハイビルアがフェードアウトしてしまう謎が解き明かされます。ハイビルアの精神を乗っ取ていたOという種族のライヴァンは肉ぼるく収まってホッとした。新しい肉体を手に入れたライヴァンが初々しくて可愛いです。精神年齢はバートよりもずっと年上なので、それってショタジジなのでは?と萌えました。闇落ちしていたバートが立ち直ったのも萌えでした。

 

あらすじ。

銀耳に銀尻尾、美しい銀の髪を持つハイビルアのハルは、年下のジェフリーの一途な想いに応える形で夫婦となった。だが寄生体の交換期限である“フェードアウト”を迎え、ハルの精神はジェフリーの隣家に住む五歳の男児アーノルドに移された。黒髪に黒耳・黒尻尾と容れ物は変わっても、そばにいるのは彼の愛した魂。それなのにジェフリーの心はいつまでもハルだけを想っていて……? 大人気シリーズ新エピソード!!

 

最新作がディアプラスに掲載されるので再読しました。

 

 

 

【感想】

寄生体を乗り換えてジェフリーの傍にい続けるハル。けれど姿が変わっているのでジェフリーは「ハル」だと気づくことができない。精神はなにも変わっていないのに姿かたちが違うから愛されない。

フェードアウトしてしまったら、中身は違うのに抜け殻の方が愛されてしまう。

見た目が変わってしまったら、自分を自分だと証明できる証拠がない。

結局、ハルが自分の人格を認めてもらうには、まず見た目在りきなんだと見せつけられるのがつらい。人が人を好きになるのが心なら、見た目が変わってしまったハルでも愛してくれよ。

Oという種族はなんの為に生まれてきたのかが分かるお話が読みたい。

肉体を乗り換えていけば永遠の命が約束されているOという存在も他人を愛することを知ってしまったら時間の流れが違うので、愛する人を見送り続ける人生になってしまうのも切ない。

 

 

「この部屋で白い小さな粒を見つけたら、踏み潰してくれないか」

 

 

ジェフリーと一緒に消えることを望んだハルが生き延びてまた目を覚ましてしまったのはとても悲しい。でもハルが何故Oという種族が生まれたのか世界の謎を解いてくれたらいいなぁと思いました。

アーノルドとして生きていた時間は辛いことが多めの本編でしたが、書下ろしが甘いお話でホッとしました。アーノルドとしてジェフリーに愛されていた時間は幸せもあったのが見られて本当によかった。