海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

「掌の檻」「掌の花」 宮緒葵

ツイッターのタイムラインに流れてきた座裏屋蘭丸(ざりやらんまる)先生の病んだイラストが気になって、早く読みたかったのでリアル書店さんで買ってきました。

 

あらすじ

【イラスト付き】 会社員の数馬は、ある日突然、友人にヤクザからの借金を肩代わりさせられ、激しい取立てにあうようになった。心身ともに追い込まれた状態で友人を探す中、数馬はかつて互いの体を慰め合っていたこともある美貌の同級生・雪也と再会する。当時儚げで劣情をそそられるような美少年だった雪也は、精悍な男らしさと自信を身につけたやり手弁護士に成長していた。事情を知った雪也によってヤクザの取り立てから救われた数馬は、彼の家に居候することになる。過保護なほど心も体も甘やかされていく数馬だったが、次第に雪也の束縛はエスカレートしていき――。限定書き下ろしSSも収録!

【感想】1

 

宮緒先生は個人的に煌びやかな作品を書いてくださるイメージがあったので、まず表紙のイラストが二人とも病んでいて、宮緒先生ってこういうお話も書かれるのだと、凄くびっくりしました(笑)

 

病んでたり闇落ちしているお話大好きなのでそんなのすぐ買うよ!

 

椿は高校生の頃は美少女めいた美貌の持ち主で、線の細い男の子だったのが、大人になったら『正義の弁護士』と呼ばれるハイスペック攻め様になっていて、数馬は学生時代は陽キャでみんなの中心にいるような存在だったのに、大人になったら同級生とのトラブルで借金に塗れていて・・・・っていう場面からお話がスタートするんだけど、二人が再会したときに学生時代の力関係が逆転しつつあって、もうこの時点で、元美少年がハイスペック攻め様になって受けさんを幸せにするんだなぁーって分かるんだけど、表紙イラストが普通の甘いお話じゃないので、どうなるんだろーって恐る恐る読んだら、この元美少年の攻め様、椿君は頭のネジが飛んでいる。

数馬を自分だけのものにすべく、ありとあらゆる手段を使うのですが、この手段が本当に怖かった。そこがこのお話の面白いところだと思うのだけど、椿のやることがマジで恐ろしかった(笑)

 

 

数馬はもともとダメ人間ではないから、椿が徹底的に追い込まないと落ちてこなかったかもしれないけど、数馬が寝ている間に――――――したり、

(ちょっと此処には書けない)

 

 

 

優しい顔して手料理を振舞ったり、ハーブティーをこまめに飲ませたりするのは数馬の身体を作り変えるためだったりもして、好きな人が作ってくれる手料理が、こんなに恐ろしい事ある!?

 

 

 

最後の方で椿の手の内が明かされるけれど、こんなに執着心の強い攻めは初めて見たので、読んでいて楽しかったです。

 

サイコパスってこう言う事か!?と目から鱗でした(笑)

 

 

 

 

孤独と愛することしか知らなかった少年は、微笑んだまま鬼になってしまった。

この一文が超怖くてホラー小説じゃないのに背筋がぞっとした。

 

数馬は椿に捕まらなかったら、ごく普通の人生を歩めそうだけど椿はこの執着心を持ってひとりでは生きられなさそうだから、数馬を自分の手の内に落とすしかなかったんだろうなぁ・・・とは思うけど、数馬の自由な人生を全部奪い取ってまで自分の手の内に収めておく必要あるかな?でもでも数馬が椿の手の内に落ちてきてくれたということは、やっぱり破れ鍋に綴蓋なのかも??

 

 

 

 

【感想】2

数馬が高校時代のジャケットを着ているときの座裏屋蘭丸先生のイラストが最高でした!それから、口絵イラストも綺麗でため息が出ちゃいます💕

 

 

 

 

【感想】3

宮緒先生の本は実はずっと積読していて今回は初めてちゃんと読んだのだけど、宮緒先生の書かれるエロシーン?の地の文?(会話じゃないところ)の書き方が凄いエロかったです💕読みながらうわーってなりました💕楽しかったです💕

 

 

【追記】

フォロワーさんに教えてもらって気づいた。

他のジャンルにもありそうな言い回しだったの。

気づけてよかった。すっきり✨

 

 

 

 

「掌の檻」とても面白かったよって事が書きたかったんだけど、椿の異常な行動をネタバレしないで書くのが難しすぎて感想めちゃくちゃになってしまいました。でも執着攻めとか、ヤンデレとか闇落ち系のお話が好きな人には刺さると思うので読んでみて欲しいなぁと思いました。

 

 

 

 

スピンオフ

椿の先輩弁護士の宇都木のお話。

こっちは電子で読みました。

あらすじ

 

人として現れたのは、高校時代の元同級生で、ネイリスト兼実業家の黒塚菖蒲。相続トラブルを抱えた菖蒲のために、聡介はしばらく彼の家に同居することになる。華道の家元の息子で絶世の美少年だった菖蒲とは、かつて身体を慰め合った仲だった。大人になっても壮絶な色気を含んだ菖蒲の手は、爪先を朱色に染めて淫靡に聡介の身体を求めてくる。戸惑いながらも愛撫を受け入れてしまう聡介。その執着は年月と供に肥大し、強い独占欲を孕んでいるとも知らずに――。電子限定書き下ろしSSを収録!!

【感想】

 

ツイッターのタイムラインに流れてきた座裏屋蘭丸先生の病んだイラストが気になってすぐ読みたくて久しぶりにキンドルで購入。最近、甘くてキラキラしているお話を読むことが多かったのでこのお話を読んだ時の衝撃が凄かった✨攻め様の執着心が凄いよ。「掌の檻」のスピンオフなんだけど「掌の花」の方が好き。

 

菖蒲の執着心は容赦がない。聡介を手に入れるためにはありとあらゆる手段を取る。

 

『――――ウツギ、っていうんだよ。君と同じ名前だね』

 

すべては10年前から始まっていたのが怖いんだけど面白い。

 

聡介は陽の当たるところしか歩いたことがない子だから・・・・て叔父に心配されていたけど、その心配は的中して菖蒲に出会ったことで闇落ちよ。菖蒲の手の内でしか生きられない。菖蒲の執着心の一番怖いところは、聡介の周りの環境をすべては奪わない事。仕事もしてるし、人間関係も壊してはいないの。それでも菖蒲から出てくる毒のような魅力に絡めとられて、身動きできなくなって菖蒲の掌の上に墜ちてくる。

 

高校生のとき菖蒲の赤く塗られた指先をみたときから、もう逃げられないのは確定していたんじゃ・・・・?高校生の時の場面は手や指先に対する描写が印象的で、作者さんの「手」に対する拘りがすごいなぁと思いました。

 

私は普段の生活で他人の手を見るときは、ネイルのデザインの可愛さとか服装との統一感に意識が向くことが多いのですが、このお話を読んで「手」そのものに拘る見方もできるのだなぁと、新しい発見をしました。

 

読んだ本にすぐ影響されるので、新しいネイルポリッシュを買いました。

 

キンドルで買ってしまったので再読しやすいように紙本も買おうと思います。