海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

「人魚姫の弟」「白雪姫の息子」「シンデレラ王~罪を抱く二人~」「赤ずきん王子」「眠れる森の王」濃厚官能童話BLシリーズ5冊 犬飼のの

童話BLシリーズ一作目。

 

あらすじ。

 

イルカ族の血を引く人魚のリトは、人間の王子グレンに恋をしている。イルカの姿で友達になれただけでも幸せだったが、嵐の夜に海へ落ちた彼を助けたことをきっかけに、どんな犠牲を払っても傍にいたいと願う。報われない恋と知りながら美しい瞳とひきかえに魔女の薬で少年へと変身するが・・・・。表題作のほか、ユリアスとテオの美人兄弟それぞれの初恋を描く「輪」シリーズを収録。濃厚エロスで贈る童話世界の匂いやかな恋愛譚!

 

 

【感想】

笠井あゆみ先生のイラストに惹かれてジャケ買いした本です。「人魚姫の弟」というタイトルのとおり童話の人魚姫がモチーフになっています。

人魚族のリトは最初はイルカの姿になってグレンと交流していました。荒らしの夜に海に落ちたグレンを助けてから、グレンに会いたくて、瞳とひきかえに人間になります。だからリトは左目には黒い眼帯をしています。その姿がひそかに眼帯好きなので、とても刺さりました。

 

このお話はリトはとても健気なのです。それなのに王子のグレンは・・・・・・

 

婚約者との結婚もなかなか決められず、けれど、人間の姿になったリトには恋をしてしまいます。グレンは王子様なのに強くてキラキラしたキャラではなく、優柔不断でもあり繊細すぎる人でした。

 

そのせいで婚約者のエルザも傷つけ、リトに毒を盛ってしまいます。人魚であるリトには効かなかったのですが・・・・・

 

後半の展開がリトの人魚の特性を活かしていて、面白かったです。元の童話のような切なさもありつつ二人にとっては、ハピエンでした。

 

 

 

ユリアスとテオの美人兄弟のお話。「輪」シリーズ。モチーフの童話はヘンゼルとグレーテルです。

 

「銅の足輪」兄、ユリアスのお話。森の中を逃げてきた兄弟は木こりの休憩小屋に逃げ込みます。けれどそこは、屋根や壁が赤い家で・・・・・。そこには「青髭の悪魔」が住んでいて・・・!?

 

ヒゲのワイルド系イケメン×美人兄。

 

 

 

 

「銀の指輪」弟テオのお話。

 

フェルナンとユリアスのイチャイチャも見れつつ、弟のテオはユリアスが着けていたアンクレットを着けて森へ出かけてしまう。そこで金髪のイケメンと出会います。

 

ユリアスのお話はまだまだこれからも続きそうで、続きを読みたい。犬飼先生、続きを書いてくださらないかな?テオが可愛いので、続きが読みたいです!

 

 

 

 

 

童話BLシリーズ二作目。

 

あらすじ

母・白雪姫に似た美貌が災いして父王から城を追われた王子・スノーホワイト。クロウと名を変えさせられ、森の奥で孤独に暮らす彼の許に現れたのは、猛々しい獣・ビーストだった。何故か毎日クロウの許に通うビーストを怖々招き入れると、ビーストは突然獣人と化し、理性を失ってクロウを蹂躙してくる。乱暴で一方的な性交ーーーーーけれど、愛を知らない純粋さ故に、クロウはそのたった一度の快楽を忘れることができなくて・・・。犬飼のの×笠井あゆみの強力タッグが贈る、濃厚官能童話。

 

 

 

 

 

僕の母は、緑豊かなグリーンヴァリー王国の王妃ーーーースノーホワイト

 

この王国の王女として生まれた母は、継母にあたる鏡の魔女に命を狙われた挙げ句に、父親を殺されて国を乗っ取られた。

 

七人のエルフと、当時は隣国の第二王子だった父の力を借りて魔女を捉え、父を婿として王位に就かせたまではよかったが、母は自らの結婚式の際に、大きな過ちを犯した。

 

鏡の魔女に焼けた鉄の靴を履かせて、結婚式の余興として死ぬまで踊らせたのだ。

 

魔女は苦しみに身悶えながら、残酷な継子を呪った。

 

誰も解くことができないほど強い、命懸けの呪いだ。

 

しかしその呪いを、母自身が受けることはなかった。

 

呪いは、すでに母の身に宿っていたーーーー僕が受けた。

 

 

 

 

【感想】

 

白雪姫の息子ふたりの王子のお話、兄×弟の実の兄弟でラブラブするお話です。

 

クロウがエルフ達といろいろしていたのには、驚きました。ミルクって・・・・笑

 

カイルがびっくりしてるのが面白かった。

 

ダークファンタジーらしく、兄のカイルが呪いを受けて獣の姿に変えられてしまったり、弟のクロウは塔の上に閉じ込められていたり茨が出てきたりもして、白雪姫、ラプンツェル美女と野獣、眠れる森の美女のモチーフも出てくるので、童話好きなので楽しめました。笠井あゆみ先生の挿絵も本当に美しくて、挿絵だけ観るためにパラパラ捲ってます。ただし、口絵はかなりエロいので背後注意!です笑

 

濃厚官能童話だけあって口絵の肌色率は100%な上に、アングルも凄いです。

 

カフェや電車で読むときはメモ帳用紙を一枚持っていくといいかも。そうすれば挿絵を隠しながら隣のページの文章を読むことができます。

 

 

 

童話BLシリーズ三作目。

 

 

 

 

あらすじ。

 

継母の家族の下で不遇な生活をしていた青年エラルドは、ある時、森をお忍びで散策していた第二王子シャロンと出会い、天使のような愛らしさにたちまち恋に落ちる。一方、シャロンは弟を偏愛する兄王子に束縛されていて、真の友人を求めていた。運命的に出会った二人は森の離宮で逢瀬を重ね、いつしか秘密の恋に溺れていく。そんな折、城で舞踏会が催される。シャロンに会いたい一心でエラルドは城へ向かうが、弟との仲を知った兄王子の逆鱗に触れ・・・!?大人気濃厚官能童話!

 

 

【感想】 

このお話は攻めが「シンデレラ」という他では見かけたことのないパターンで新鮮でした。攻めのエラルドが継母から不遇な扱いを受けつつも真っ直ぐな性格の青年に育っていることが奇跡です。シリーズの中で1番正統派な王子さまらしい性格でとても格好いいです。シャロンとお似合いでとても好きなカップリングでした。

 

犬飼せんせいが、シャロンの長い髪の毛を巻き毛にしてくれてのでシャロンの髪の毛がくるんくるんしていてとても可愛いのでそこも好き。

 

話全体の流れは全シリーズの中で、1番ダークなお話で犬飼先生らしい仄暗さがあってとても面白かったです。

 

・・・・秘密も罪も、私が、・・・地獄に、持っていく

 

 

 

 

貴方となら、罪を増やして地獄に落ちても構いませんが

 

 

 

 

ありがとう・・・・でも、大丈夫だよ。私は他人だからね

 

 

一緒にいられるのは生きている間だけになってしまうが、それでもいい。

 

天使はやはり天国へ行くべきだ。ただ一つの罪なら、神はきっと許してくれる。

 

死してなお共にいることはできないけれど・・・・・せめてこの世で二人ーーー否、三人で、異端の愛に溺れていたい。

 

 

 

 

後半〜ラストシーンまでの流れがドロドロ兄弟愛で、凄く好き。そして、それをシャロンには告げないでエラルドは罪を隠したままシャロンの愛を手に入れるなんて背徳的で最高でした。もしシャロンが真実を知ってしまったら、どうなってしまうのか?描かれることはないけれど、真実を知ったパターンまで妄想してしまったりします。ドロドロとした執着心と切なさが混ざり合っていて、とても面白かったので、何度も読み返している本です。

 

 

 

官能童話BLシリーズ4作目。

 

あらすじ

ヴァルセント王国の皇太子・リルは、母親代わりの祖母の女王から贈られた赤いマントを大切にしていた。そのお礼にお菓子を作るため、森に住む先代の料理長を尋ねるが、その途中で暴漢に陵辱されそうになった所を銀髪の美しい青年・クラウスに助けられる。異質な風貌の彼にも無警戒なリルを嗜めるように、唇を奪うクラウス。その官能が忘れられず、リルは度々森を訪ね、逢瀬を重ねるように。しかし国を脅かす悪しき狼に捧げる贄として、王族であるリルが選ばれてしまい・・・・・!?

 

 

 

【感想】

まず最初に笠井あゆみ先生の口絵が最高にエロかったです。全てが丸見えなので、カフェや電車で読むときは背後注意です!笑

 

童話の中の赤ずきんちゃんにはか弱いイメージがありますが、リルは見た目は可愛い美少年だけど中身はシッカリした子で攻め様よりも格好いい青年になりそう。

 

攻めのクラウスは狼なので、リルが持っていた上等なバターが大好きで、本能が強まるとケモミミと尻尾が出てきてしまうところがとても可愛いい。

 

城を囲むストロベリースノーなども異世界を感じられてシリーズの中では赤ずきん王子の世界観が1番好きです。このふたりのお話もっと読みたくなりました。

 

 

「もう黙ってください。今夜もバターと一緒にお召し上がりいただければ光栄です」

 

 

 

 

 

この二人といえば、バター✨✨

 

読み終わった後は、いつも美味しいバターが食べたくなります。

 

 

官能童話BLシリーズ五作。

 

 

あらすじ

愛憎の果てに国王に幽閉されていた薔薇の妖精・フィセの許に、ある日王子のオーレリアンが訪れる。心を閉ざしても、健気に自分の元を訪れる王子の愛らしさに、次第にフィセは心を慰められていく。17歳になったオーレリアンは、必ずフィセを開放すると誓い、父王へ懇願する。しかし、フィセに執着する父王と激しく争った彼は、鍵を奪ってフィセを離宮へ攫い、二人で生きていこうと愛を告げる。激しく求められ体は換気するが、過去の恋の疵がフィセを臆病にさせて・・・?

 

 

【感想】

シリーズの中で一番優しいキャラと優しい終わり方でした。ドロドロしてなくて、ラストシーンがお伽噺のようにキラキラしていた。

 

フィセは酷い失恋の仕方をしていて心に負った傷が深くて、最初はどうなってしまうのか・・・・・フィセが心配で見ていられなかったけれど、オーレリアンが純粋で一途で、初めて会ったときから、フィセのこと好き!ってフィセの閉じ込められている牢屋の前に来てくれるのが本当にいい子すぎて・・・・!

 

フィセの心を癒やしてくれてありがとう!ってなった。

 

 

 

私は知っている。真実の愛など幻に過ぎないことをーーーー。

 

これが愛だと思っても、時が経てば気の迷いだったと気づく。

 

恋も愛も、愚か者が罹る流行り病のようなもの。

 

一度罹って全癒したあとは、もう二度と罹りはしない。

 

太陽の王子オーレリアン、私が何を受け入れても思い違いをしないで。

 

私が貴方の口づけを拒まずにいるのは、この唇が薔薇の花弁のように美しいから。

 

私が貴方の髪に指を絡めているのは、波打つ髪がとても滑らかで、太陽の光を集めた黄金のように煌めいているから。

 

妖精も人も、美しいものには惹かれる性。

 

きらきらと光るものを見ていたくなり、手触りのよいものには触れたくなる。それは誰もが持つ習性であって、特別な意味などない。

 

私を抱いても快楽以外の何も得られないことを、忘れないで。

 

真実の愛など存在しない。私は、貴方を愛さない。

 

 

 

っていう冒頭シーンがあって「私は貴方を愛さない」それほど、フィセの傷が深くて悲しい。そんなフィセが変わっていくオーレリアンの愛の深さを見てほしい。

あと、表紙にもいる黒猫さんが喋ります。とっても可愛いです。

官能童話シリーズはこれで終わりみたいです。続きが出てくれることを密かに期待してます♡