海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

【お菓子の家】凪良ゆう

【夜明けには優しいキスを】に出ていたDV彼氏の加瀬(攻め)が優しい強面のパン屋、(元893)の阿木に拾われて、受けになるお話。

あらすじ

リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人とのつき合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど、火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は・・・・。

 

 

 

 

 

優しさを知らなくて人とのつながり方も知らない加瀬がもうたまらんよね。

 

 

 

 

【感想】

「夜空明けには優しいキスを」に出ていた加瀬のお話でした。

 

 

 

 

今夜も人を殴る夢を見た。

恋人の胸ぐらをつかみ上げ、容赦なく頬を打つ。その間中ずっと、やめろと必死に訴えるもうひとりの自分がいた。どうして自分の手は、好きな人を傷つけているんだろう。嵐の到来のように、よどんだ灰色の雲が頭の中で分厚い渦を巻き始める。嵐は、自分を遠く遠くへ、 吹き飛ばそうとする。誰か止めてほしい。止めてほしい。止めてほしい。

そこでいつも目が覚める。夢だったのかとほっとして、暗い部屋の中で、じっと自分の手のひらを見つめる。夢なのに、手は人を打ったあと独特の、じんじんと痺れるような痛みに火照っている。あれは夢だ。あれは過去のことだ。もうあんなことはしない。

 

 

 

 

↑が冒頭の文章なんですが、加瀬、病みまくってる。「夜明け前には優しいキスを」で恋人を殴りまくっていたDVの彼氏だったから、心が病んでいて当然なんだけど、小説を捲って最初の1ページ目がこれって・・・・・。どうなってしまうのか・・・・不安しかない。

恐恐と読み始めてみた。

今度誰かを好きになったら優しくしようと決めているのに、誰とも繋がれなくて自分の舌が壊れていることにも気がつかない。本当は誰かに優しくされたいのに相変わらず一人ぼっちで、前の恋人に貰ったレモンイエローのシャツを抱きしめている加瀬が寂しくて堪らない。

そんな加瀬がパン屋を営む阿木と出会って少しずつ寂しさが紛れていって、心を近づけでいく様子が丁寧に描かれていてとても良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

加瀬は前作では、攻めで、割とクズな彼氏でした。そんな加瀬が今回は受けになるのも好きな展開でした。元攻めの受けって、見た目が格好良いからとても萌え。

他にも、元攻めが受けになる話があったら読みたいなぁ。

 

わたしは、「夜明けには優しいキスを」より「お菓子の家」のキャラ二人が好みだったので、ぜひ、お菓子の家をから読んでみて欲しいです。もちろん夜明けには優しいキスをの二人もいい人です。高階ゆう先生のイラストも素敵です。凪良先生はたくさん作品を書かれていて、有名な作品はたくさんあるけれど、お菓子の家も読んでみて欲しいです。