海月の本棚。

BL小説とBL漫画の感想を書いています。

マイ・ポリスマン

ハリーが主演する映画の原作なので読みました。

以下ネタバレありなので、まだ読んだことない人は注意!

(ネタバレなしで読んだ方が面白いと思います。)

あらすじ

◇◇ ハリー・スタイルズ主演映画原作! ◇◇

同性愛がタブーだった時代。
kえどブストーリー!

アイリッシュ・タイムズ 〉紙年間ベスト選出!


中学生だった頃、広い肩幅と逞しい前腕、青く澄んだ瞳を持つ15歳のトムと出会い、忘れられなくなったマリオン。
数年後、警察官となり大人の男性へと成長したトムと再会し、真っ逆さまに恋に落ちていく。
トムの親しい友人パトリックにも紹介され、3人で楽しく過ごす日々のなかで情熱的にプロポーズもされて幸せの絶頂を感じるが、トムの思いがけない秘密を知ることになり.....
道ならぬ恋を貫くトムとパトリックと、トムを愛するマリオンの運命を描く美しくて哀しいラブストーリー!
原題:My Policeman

 

 

 

【感想】

映画の原作なので興味があったけど・・・・・・・

まずBL小説ではないので、警察官に恋している少女の視点で始まる話→警察官に恋する男のお話→現在に時間が戻ってくる。という構成で、警察官のトムを取り巻く人の視点で話が進みます。最初の方は女の子の視点で永遠と語られるのでBL好きとして読み進めるのが少し難しかった。

(翻訳の文章に癖はないので読みやすいはずなのですが)

主人公は結婚している?じゃあこれは過去の恋愛の回想話かなぁ・・・・と予想して読み進めましたが・・・・・・・

「分け合える?」

「分け合う?」

「僕を彼女と」

・・・・・・このセリフが出てきてからもう読み進めるの辛い。

同性愛が許されない時代だったとはいえ、トムは女性を好きになれないならマリオンと結婚しない方がよかったのでは・・・・・・結婚しないで独身を貫くのはダメだったのかな?当時の時代背景があって独身者にも偏見があったのかもしれないけど好きでもない女性と形式的に結婚して、愛した男性と関係を続ける。こんなこと誰も幸せになれそうにない。

って現在を生きる私が言っても説得力が無いのだけど。

当時の社会の中で自分を隠して生きるには、こうするしかなかった?トムの心情は書かれていないので、トムがどういう気持ちだったのかは、推し測るしかできないのが、もどかしい。

窮屈な時代背景の中で、三人がそれぞれ自分の思うように幸せになりたかっただけなのに、叶わない。自分の好きな人と平凡な生活を送ることが簡単にはできない。

許されない世界の中で藻掻く姿が苦しい。

これから新しい人生を送るマリオンにも幸せが訪れますように。

原作では心情が描かれていないトムをハリーがどんなふうに演じるのかとても楽しみです。悲しい結末だけどハリーのファンなのでハリーを観る目的で観ようと思います。

鎖に繋がれて犬にされる。「FRAGILE」木原音瀬

木原先生の本の中で、もすごくインパクトのあるお話だったフラジールを読み返してました。最初に読んだの10年以上前で時間が経ってるのに内容ほとんど覚えてる不思議(笑)

衝撃あり過ぎたからだけど。

 

あらすじ

大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で―。才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!大反響の雑誌掲載作に大量書き下ろしを収録。二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は―。

【感想】

 

主人公の大河内(受け)は上司に媚びて出世していくコバンザメ野郎なのね。性格も良いとは、言えないんだけど・・・・攻めの青池は、一目惚れして(顔だけはいいから)大河内のことを好きになってしまう。 青池にとって、それが不幸の始まりだった。

青池はもともと仕事のできるタイプだったので上司でもある大河内に気に入られたくて、そりゃあもう必死になって企画出したりして仕事をこなすのよ、そ、れ、な、の、に、大河内は自分の可愛がっている部下の方を贔屓したあげく青池が持ってきた企画を部下に横流しする。それだけに留まらず青池はゲイであることを隠して生活していたのに、男とキスしていたっていうことを会社で、いろんな人のいるところで暴露される。

 

 

 

「知っているかな?犬でも同性とは交尾しないんだよ」

 

 

 

最低すぎる。大河内の仕打ちに青池も当然、ブチ切れて鋏を持って大河内に襲いかかってくる。殺されかかる大河内。

ここまでで、まだ30ページくらいなのに大河内の性格の悪さと青池がストレスMAXなの見てて辛い。でも読む手が止まらない(笑)

30ページにして歪みあっていて、もはや地獄の沙汰。

青池は会社を辞めることになって、大河内はあいつが居なくなってくれたとホッとしたのもつかの間の間で・・・・

深夜、大河内のマンションに青池が現れる。

自分が苛めまくってた奴がマンションに来たら超怖いよね(笑)

追い返す訳にもいかず部屋にいれるんだけど、ここからが本当の地獄の始まり(笑)

普通の会話をしていたはずなんだけど、だんだんと不穏な空気が漂い始める。そして、一回目の変態プレイが入ります。青池が「トイレにいきたいなー」と言って大河内に向かって方尿します。プレイというより散々苛められていたので、仕返しに嫌がらせ。青池曰く、どんな性交にもまさる快感だったそうな。(笑)嫌な奴への復讐が果たされた場面なので、読者としてはスッキリします。ここから苛めてた側と虐めらてた側が逆転しちゃいます。大河内が青池に怯え始めます。

木原先生は嫌〜な空気感を書くのが凄く上手いので、大河内のビビリっぷりも見どころ。

そして、見下していた奴に逆転されるところも書き方が上手い。

 

 

 

 

「あなたを飼ってもいいですか」

 

 

 

って青池が言い出すわけ。

普通のBLに出てきたなら、怖くないセリフじゃん。だけど、この二人は普通じゃないからね。この時点で歪み合ってるから本当に犬のようにして飼われるのよ。裸に首輪と鎖つけられて、服も着せてもらえないし、ありえない物をトッピングしたドッグフードも食わされる。大河内にとって地獄の生活がスタートする。

だけど、昼間は普通にスーツ着て会社に行って仕事をするっていう普通の生活もしているからさらに異常なかんじ。

読者はそんな異常な二重生活を体験できる。そんなお話です。

 

「家畜のように飼い殺してやる」

 

↑ここまでが、雑誌掲載されていた。「FRAGILE」です。後半からは、「ADDICT」という青池視点で進む話が書き下ろしで追加されていて監禁生活は続いていきます。ここでやっと二人の気持ちが少しずつ動いていきます。それでも甘い展開にはならず。嫌な気持ちになる場面が続く。読んでて本当に辛いわ・・・・

前に読んだときこんな気持ちにならなかった。続きが気になって一気読みしたんだけど今は「FRAGILE」だけでも良くない?もうお腹いっぱいだなーと思った。「FRAGILE」の続きが読者に委ねられている感が好きだと思った。

でも木原先生の描く青池と大河内の結末を見れないとなると気になってしまうからやっぱり「ADDICT」は必要なのだけど。

「ADDICT」の方は「FRAGILE」では、繊細で真面目だからこそ思いつめすぎていろいろやらかしてしまった。みたいに描かれていた青池が、ラストのほうで大暴走してくるのね、そこまでするほど大河内に価値あるのかな・・・・無いような。もう諦めてあげなよ。と言いたくなったし、大河内も大河内であの手紙は酷いし。もう見てられなかった。

そしてこの二人の結末はハピエンなの?わたし的にはちょっと・・・・・読み返したけど理解できなかったなぁ。甘いハピエンにしないところが木原先生らしいのだけど、うーん?二人のキャラもわたしの萌えに刺さらなかったから余計に、うーん・・・・?🤔となってしまった。

でも「FRAGILE」だけは読んで欲しいから、木原先生の本の中でやっぱりお薦めしたい一冊なのよね。メンタルに余裕があるときに読んで欲しいなぁ、と思います。

君の名前で僕を呼んで 原作小説感想

 

あらすじ

「あとで!」乱暴で無愛想でそっけなくて冷淡なその響きは、オリヴァーについて真っ先に思い出す言葉だ。十七歳のあの夏、エリオがオリヴァーと過ごした日々は、鮮やかな記憶として今も消えずに残っている。毎年、夏休みになるとエリオの家に滞在する若い研究者のひとりでしかなかった彼の最初の印象は、好きになれるかもしれないし、大嫌いになるかもしれない男だった。しかし、すぐにエリオは彼から目が離せなくなり、話ができれば幸せに、よそよそしい態度をとられれば傷つくようになって―。切なくも甘いひと夏の恋を描いた青春小説。本年度アカデミー賞脚色賞受賞、作品賞、主演男優賞・歌曲賞ノミネート、映画化作品の原作!

 

 

 

 

 

 

 

 

【感想】

わたしの少ない語彙力では言い表わせないほどの感動に出会う。

原作はエリオの視点から見た世界が描かれていて、エリオの心の中はオリヴァーでいっぱい。オリヴァーに対する恋心と、情熱に溢れていてキラキラと眩しすぎて、読んでいるこっちまで切な苦しくなる。まさに青春真っただ中!それにエリオの恋心は暴走して、淫らな妄想が止まらないところが堪らなく可愛い。オリヴァーの使っている部屋に入ってみたりオリヴァーの水着をこっそり着てみたり、昼寝のついでに桃で妄想を滾らせたり(笑)

エリオは周りの子より随分と大人びて見えるけれど、中身は繊細で純粋な17歳で素直に恋している。エリオの瞳にはオリヴァー以外の人は見えていないのがとても可愛い。エリオの世界はオリヴァーを中心にして周っている。

だからこそ映画のラストのその先の二人の人生を見て現実的で胸が苦しくなってしまった。パラレルの人生を歩んでいるオリヴァーと昏睡状態にあるエリオ。だからこそ最後の数行がまた切なく心に突き刺さる。

だからまた最初から読みたくなってしまう。

このお話は読んだときの自分の状態いろいろと感想が変わってきそう。数年後に読み返したらまた違うところに感動していそう。

何度再読してもその度に新しい感動を体験するんだと思う。

私の人生の中で、忘れられない一冊になりました。

また映画を観返したい。

わたしは映画を観てから小説を読んだけど、その方が異国の地を想像しやすくて話に入り込み易かったです。

 

君の名前で僕を呼んで 【映画の感想】

 

【感想】

北イタリアの美しい景色とともに描かれる17歳の少年のひと夏の恋。

冒頭~最後まで映像が綺麗すぎる。

静かで詩的な映画だった。

主人公のエリオはインテリで繊細な美少年で、その内面が少ないセリフと細かい演技で表現されている。地元の女の子たちと楽しそうに踊るオリヴァーを見つめる視線。そんなに好きなのに、エリオの内面は複雑で、オリヴァーとの距離感を図りかねている。オリヴァーのことを好きすぎて意識しすぎるばかりに、ぎこちない反応を返してしまって誤解させたり。

ひとりでメモ帳に気持ちを書きながら「嫌われたのかも?」とか、些細な事を気にするけど、傍から見るとそんなんじゃオリヴァーには伝わらないよって言いたくなってとても歯がゆい。とにかくエリオの心の中はオリヴァーでいっぱい。

エリオの心の揺れ動きに観てるこっちまで、揺はれ動いてしまう。

映像がとても綺麗で優しい青と緑と白が印象的な画面だった。

どうやったらあんな綺麗な場面を思いつけるんだろう?

俳優さんの演技もとても上手でエリオとオリヴァーが本当にこの世界のどこかにいるんじゃないかって思えるくらい自然だった。

セリフが少なくて、二人はお互いの気持ちを目線やしぐさで探り合うような場面も多いから、それをできるの本当にすごい。

君の名前で僕を呼んで

の意味は恋人同士でお互いの名前を交換することでした。

お互いの名前を呼び合う場面切なすぎる。

ふたりが一緒にいられた時間はとても短くてエリオが母親に「迎えにきて」って言ったところで一緒に泣いた。

ラストの電話してるところも涙が止まらなかった。

登場人物がみんないい人だったのも余計に切なくなってしまった。

それでもふたりは結ばれない。エリオの中には一生消せない記憶として残ってしまうのかな・・・・

「ひとの心と肉体はたった一度しか与えられないものなんだ。そして、そのことに気づく前に心は擦り切れてしまう。今はただ悲しく辛いだろう。だが、それを葬ってはいけない。お前が感じた喜びをその痛みとともに葬ってはいけない」

 

最後の方の父親の言葉が印象的でした。

エリオの中には一生忘れられない記憶としてオリヴァーへの気持ちが残り続けるのかもしれないけど、お前が感じた喜びをその痛みとともに葬ってはいけないって言ってくれる父親がいて良かった。

 

【感想2】

映画そのものに心を奪われてしまった。

こんなに感動したのは久しぶりで、セリフや間の取り方や映像の取り方が気になって仕方なかった。綺麗な物を撮ったり描いたりしたいと思った。

 

 

原作の小説も買ってきたので今読んでます✨

 

 

 

「造花の解体」「鋭利な刃物」 西条公威

Twitterのタイムラインに流れてきて、そういえば積んだままだった。ていうか、実家から持ってきてたっけ?置いてきた気がして、本棚を引っ搔き回して探し出しました。

 

あらすじ

「壊れかけた体」を撮り続けている写真家・エスの前にナミという若い男が現れた。

生きているのに腐り始めた人間を知っているという。

エスはナミに導かれその人物を尋ねる。

そこで見たものは……。

表題作をはじめ、プロメテウスとの出会いを描いた「サンプリングハッシュ」、スペル・イー・エスシリーズや「サイクリングヤッホー」など珠玉のショートを収録。

 

 

 

 

 

【感想】

発売したとき茶屋町勝呂先生のイラストが好きでジャケ買いして

咎狗の血が好きだったので)

でも最初のお話が精神的にも肉体的にも痛くて辛くて、何より文章全体から漂ってくる荒んでいて病んだような空気が、その時は怖くて読めなくてずっとそのままにしていました。

 

が、ツイッター始めたお陰で今更ですが読むことができました。

 

今回ちゃんと読んでみたら、面白かったです。多分わたしが10年の間に更けたのと、小説を読むのに慣れたから。この本を買ったときは絶対苦手な作風だと思っていたのが案外大丈夫で、辛くて痛い中にも心動かされるものがありました。

表題作の「造花の解体」はエスの住んでいる荒れた街がどれだけ狂った場所なのか解りやすくて世界観に入り込み易かったです。

 

 

「あんたになりてぇよ、あんたみてぇに!そしたら何もかも、今の俺たちには天国じゃねぇか!もうだめだよ、もう耐えられない。あんたみたいに――――俺も、腐ってくあの子に欲情してる・・・」

 

「身体売って稼いでた俺たちの、せめてもの境界線。セックスは飯の種、寝る相手は客。シーナンとは絶対に寝ないから、だからあの子は特別なんだ」

 

身体が腐っていく人間のお話。

 

動けない病弱な少年が愛でられるために機会に繋がれているお話

 

エスを壊そうとした男の話。

 

とかいろいろ、BLっぽくはないと思った。でもこの世界観の中の話として観たら、どれも合っていてすらすら読める。

 

でも読む人と読むタイミングを選びそう。

 

イラストが好きだから面陳して本棚に飾っときます✨

 

 

 

 

鋭利な刃物 西条公威

発行が古いから図書館で借りたのに、図書館の帰りに寄ったブックオフに落ちていた。意外とまだ買えるみたい。

 

あらすじ

 

野放図でアナーキーな欲望が溢れかえる退廃とエロスの街。

そこで、売られている怪しげな情報誌『リーガル・ディザイア』に掲載されている―壊れたボディ、求む―という風変わりな一行広告。

その依頼主のスペル・イー・エスは壊れたものを撮りつづけているアンダーグラウンドのカメラマンだ。

ある日、テルと名乗る若い男にモデルを紹介するとエスが案内されたのは荒野に建つ粗末な小屋だった。

その中で彼を待っていたのは…。

「THE KISS」をはじめ、シリーズの短編を4話収録。

 

 

 

 

 

【感想】

痛い、辛い、重い話の四連発。どこを見ても特殊な人ばかり。

エスが常識的な人に見えてくる不思議。

 

死さえも分かつことのできなかった恋人同士は土に還るその時まで永遠のキスを繋ぎ続ける。

 

とか

 

切れた神経回路が迷走するのだ。本来痛みであるべきものが快楽のそれとして処理されてしまうのだ。麻痺。感覚の麻痺視覚の麻痺嗅覚の麻痺味覚の麻痺――――――痛覚はどこだ。

 

傷から指を突っ込んで肉をほじくり探し出せ。正常な、感覚。

 

そんなものがどこにあるのか。

 

 

 

 

 

などなど、次々といろんな奴らが出てきてお腹がいっぱいになりました。

そして読み終わった後の疲労感。こんな世界じゃ私は生きていけないよ。

みんな狂ってる。

【造花の解体】の方が読みやすかった。何故?

感想は以上です。

 

 

 

 

 

 

死体や切断が出てくるから、昔読んだこの本を思い出しました。

 

死体しか愛せなかった男―ジェフリー・ダーマー 単行本 – 1999/3/1

 

17人もの男性を自室に連れ込み、殺害。からわらに寄り添い、犯し、死体を切り刻み、頭蓋骨を抱いて寝た…より親密になるために。1991年アメリカ・ミルウォキーでひとりの青年が逮捕された。彼の名は、ジェフリー・ダーマー。端正な美青年の心の内は、その外見とは裏腹に完全に崩壊していた。

 

もう絶版みたいで中古本しかないので画像は貼れない。

「掌の檻」「掌の花」 宮緒葵

ツイッターのタイムラインに流れてきた座裏屋蘭丸(ざりやらんまる)先生の病んだイラストが気になって、早く読みたかったのでリアル書店さんで買ってきました。

 

あらすじ

【イラスト付き】 会社員の数馬は、ある日突然、友人にヤクザからの借金を肩代わりさせられ、激しい取立てにあうようになった。心身ともに追い込まれた状態で友人を探す中、数馬はかつて互いの体を慰め合っていたこともある美貌の同級生・雪也と再会する。当時儚げで劣情をそそられるような美少年だった雪也は、精悍な男らしさと自信を身につけたやり手弁護士に成長していた。事情を知った雪也によってヤクザの取り立てから救われた数馬は、彼の家に居候することになる。過保護なほど心も体も甘やかされていく数馬だったが、次第に雪也の束縛はエスカレートしていき――。限定書き下ろしSSも収録!

【感想】1

 

宮緒先生は個人的に煌びやかな作品を書いてくださるイメージがあったので、まず表紙のイラストが二人とも病んでいて、宮緒先生ってこういうお話も書かれるのだと、凄くびっくりしました(笑)

 

病んでたり闇落ちしているお話大好きなのでそんなのすぐ買うよ!

 

椿は高校生の頃は美少女めいた美貌の持ち主で、線の細い男の子だったのが、大人になったら『正義の弁護士』と呼ばれるハイスペック攻め様になっていて、数馬は学生時代は陽キャでみんなの中心にいるような存在だったのに、大人になったら同級生とのトラブルで借金に塗れていて・・・・っていう場面からお話がスタートするんだけど、二人が再会したときに学生時代の力関係が逆転しつつあって、もうこの時点で、元美少年がハイスペック攻め様になって受けさんを幸せにするんだなぁーって分かるんだけど、表紙イラストが普通の甘いお話じゃないので、どうなるんだろーって恐る恐る読んだら、この元美少年の攻め様、椿君は頭のネジが飛んでいる。

数馬を自分だけのものにすべく、ありとあらゆる手段を使うのですが、この手段が本当に怖かった。そこがこのお話の面白いところだと思うのだけど、椿のやることがマジで恐ろしかった(笑)

 

 

数馬はもともとダメ人間ではないから、椿が徹底的に追い込まないと落ちてこなかったかもしれないけど、数馬が寝ている間に――――――したり、

(ちょっと此処には書けない)

 

 

 

優しい顔して手料理を振舞ったり、ハーブティーをこまめに飲ませたりするのは数馬の身体を作り変えるためだったりもして、好きな人が作ってくれる手料理が、こんなに恐ろしい事ある!?

 

 

 

最後の方で椿の手の内が明かされるけれど、こんなに執着心の強い攻めは初めて見たので、読んでいて楽しかったです。

 

サイコパスってこう言う事か!?と目から鱗でした(笑)

 

 

 

 

孤独と愛することしか知らなかった少年は、微笑んだまま鬼になってしまった。

この一文が超怖くてホラー小説じゃないのに背筋がぞっとした。

 

数馬は椿に捕まらなかったら、ごく普通の人生を歩めそうだけど椿はこの執着心を持ってひとりでは生きられなさそうだから、数馬を自分の手の内に落とすしかなかったんだろうなぁ・・・とは思うけど、数馬の自由な人生を全部奪い取ってまで自分の手の内に収めておく必要あるかな?でもでも数馬が椿の手の内に落ちてきてくれたということは、やっぱり破れ鍋に綴蓋なのかも??

 

 

 

 

【感想】2

数馬が高校時代のジャケットを着ているときの座裏屋蘭丸先生のイラストが最高でした!それから、口絵イラストも綺麗でため息が出ちゃいます💕

 

 

 

 

【感想】3

宮緒先生の本は実はずっと積読していて今回は初めてちゃんと読んだのだけど、宮緒先生の書かれるエロシーン?の地の文?(会話じゃないところ)の書き方が凄いエロかったです💕読みながらうわーってなりました💕楽しかったです💕

 

 

【追記】

フォロワーさんに教えてもらって気づいた。

他のジャンルにもありそうな言い回しだったの。

気づけてよかった。すっきり✨

 

 

 

 

「掌の檻」とても面白かったよって事が書きたかったんだけど、椿の異常な行動をネタバレしないで書くのが難しすぎて感想めちゃくちゃになってしまいました。でも執着攻めとか、ヤンデレとか闇落ち系のお話が好きな人には刺さると思うので読んでみて欲しいなぁと思いました。

 

 

 

 

スピンオフ

椿の先輩弁護士の宇都木のお話。

こっちは電子で読みました。

あらすじ

 

人として現れたのは、高校時代の元同級生で、ネイリスト兼実業家の黒塚菖蒲。相続トラブルを抱えた菖蒲のために、聡介はしばらく彼の家に同居することになる。華道の家元の息子で絶世の美少年だった菖蒲とは、かつて身体を慰め合った仲だった。大人になっても壮絶な色気を含んだ菖蒲の手は、爪先を朱色に染めて淫靡に聡介の身体を求めてくる。戸惑いながらも愛撫を受け入れてしまう聡介。その執着は年月と供に肥大し、強い独占欲を孕んでいるとも知らずに――。電子限定書き下ろしSSを収録!!

【感想】

 

ツイッターのタイムラインに流れてきた座裏屋蘭丸先生の病んだイラストが気になってすぐ読みたくて久しぶりにキンドルで購入。最近、甘くてキラキラしているお話を読むことが多かったのでこのお話を読んだ時の衝撃が凄かった✨攻め様の執着心が凄いよ。「掌の檻」のスピンオフなんだけど「掌の花」の方が好き。

 

菖蒲の執着心は容赦がない。聡介を手に入れるためにはありとあらゆる手段を取る。

 

『――――ウツギ、っていうんだよ。君と同じ名前だね』

 

すべては10年前から始まっていたのが怖いんだけど面白い。

 

聡介は陽の当たるところしか歩いたことがない子だから・・・・て叔父に心配されていたけど、その心配は的中して菖蒲に出会ったことで闇落ちよ。菖蒲の手の内でしか生きられない。菖蒲の執着心の一番怖いところは、聡介の周りの環境をすべては奪わない事。仕事もしてるし、人間関係も壊してはいないの。それでも菖蒲から出てくる毒のような魅力に絡めとられて、身動きできなくなって菖蒲の掌の上に墜ちてくる。

 

高校生のとき菖蒲の赤く塗られた指先をみたときから、もう逃げられないのは確定していたんじゃ・・・・?高校生の時の場面は手や指先に対する描写が印象的で、作者さんの「手」に対する拘りがすごいなぁと思いました。

 

私は普段の生活で他人の手を見るときは、ネイルのデザインの可愛さとか服装との統一感に意識が向くことが多いのですが、このお話を読んで「手」そのものに拘る見方もできるのだなぁと、新しい発見をしました。

 

読んだ本にすぐ影響されるので、新しいネイルポリッシュを買いました。

 

キンドルで買ってしまったので再読しやすいように紙本も買おうと思います。

「人魚姫の弟」「白雪姫の息子」「シンデレラ王~罪を抱く二人~」「赤ずきん王子」「眠れる森の王」濃厚官能童話BLシリーズ5冊 犬飼のの

童話BLシリーズ一作目。

 

あらすじ。

 

イルカ族の血を引く人魚のリトは、人間の王子グレンに恋をしている。イルカの姿で友達になれただけでも幸せだったが、嵐の夜に海へ落ちた彼を助けたことをきっかけに、どんな犠牲を払っても傍にいたいと願う。報われない恋と知りながら美しい瞳とひきかえに魔女の薬で少年へと変身するが・・・・。表題作のほか、ユリアスとテオの美人兄弟それぞれの初恋を描く「輪」シリーズを収録。濃厚エロスで贈る童話世界の匂いやかな恋愛譚!

 

 

【感想】

笠井あゆみ先生のイラストに惹かれてジャケ買いした本です。「人魚姫の弟」というタイトルのとおり童話の人魚姫がモチーフになっています。

人魚族のリトは最初はイルカの姿になってグレンと交流していました。荒らしの夜に海に落ちたグレンを助けてから、グレンに会いたくて、瞳とひきかえに人間になります。だからリトは左目には黒い眼帯をしています。その姿がひそかに眼帯好きなので、とても刺さりました。

 

このお話はリトはとても健気なのです。それなのに王子のグレンは・・・・・・

 

婚約者との結婚もなかなか決められず、けれど、人間の姿になったリトには恋をしてしまいます。グレンは王子様なのに強くてキラキラしたキャラではなく、優柔不断でもあり繊細すぎる人でした。

 

そのせいで婚約者のエルザも傷つけ、リトに毒を盛ってしまいます。人魚であるリトには効かなかったのですが・・・・・

 

後半の展開がリトの人魚の特性を活かしていて、面白かったです。元の童話のような切なさもありつつ二人にとっては、ハピエンでした。

 

 

 

ユリアスとテオの美人兄弟のお話。「輪」シリーズ。モチーフの童話はヘンゼルとグレーテルです。

 

「銅の足輪」兄、ユリアスのお話。森の中を逃げてきた兄弟は木こりの休憩小屋に逃げ込みます。けれどそこは、屋根や壁が赤い家で・・・・・。そこには「青髭の悪魔」が住んでいて・・・!?

 

ヒゲのワイルド系イケメン×美人兄。

 

 

 

 

「銀の指輪」弟テオのお話。

 

フェルナンとユリアスのイチャイチャも見れつつ、弟のテオはユリアスが着けていたアンクレットを着けて森へ出かけてしまう。そこで金髪のイケメンと出会います。

 

ユリアスのお話はまだまだこれからも続きそうで、続きを読みたい。犬飼先生、続きを書いてくださらないかな?テオが可愛いので、続きが読みたいです!

 

 

 

 

 

童話BLシリーズ二作目。

 

あらすじ

母・白雪姫に似た美貌が災いして父王から城を追われた王子・スノーホワイト。クロウと名を変えさせられ、森の奥で孤独に暮らす彼の許に現れたのは、猛々しい獣・ビーストだった。何故か毎日クロウの許に通うビーストを怖々招き入れると、ビーストは突然獣人と化し、理性を失ってクロウを蹂躙してくる。乱暴で一方的な性交ーーーーーけれど、愛を知らない純粋さ故に、クロウはそのたった一度の快楽を忘れることができなくて・・・。犬飼のの×笠井あゆみの強力タッグが贈る、濃厚官能童話。

 

 

 

 

 

僕の母は、緑豊かなグリーンヴァリー王国の王妃ーーーースノーホワイト

 

この王国の王女として生まれた母は、継母にあたる鏡の魔女に命を狙われた挙げ句に、父親を殺されて国を乗っ取られた。

 

七人のエルフと、当時は隣国の第二王子だった父の力を借りて魔女を捉え、父を婿として王位に就かせたまではよかったが、母は自らの結婚式の際に、大きな過ちを犯した。

 

鏡の魔女に焼けた鉄の靴を履かせて、結婚式の余興として死ぬまで踊らせたのだ。

 

魔女は苦しみに身悶えながら、残酷な継子を呪った。

 

誰も解くことができないほど強い、命懸けの呪いだ。

 

しかしその呪いを、母自身が受けることはなかった。

 

呪いは、すでに母の身に宿っていたーーーー僕が受けた。

 

 

 

 

【感想】

 

白雪姫の息子ふたりの王子のお話、兄×弟の実の兄弟でラブラブするお話です。

 

クロウがエルフ達といろいろしていたのには、驚きました。ミルクって・・・・笑

 

カイルがびっくりしてるのが面白かった。

 

ダークファンタジーらしく、兄のカイルが呪いを受けて獣の姿に変えられてしまったり、弟のクロウは塔の上に閉じ込められていたり茨が出てきたりもして、白雪姫、ラプンツェル美女と野獣、眠れる森の美女のモチーフも出てくるので、童話好きなので楽しめました。笠井あゆみ先生の挿絵も本当に美しくて、挿絵だけ観るためにパラパラ捲ってます。ただし、口絵はかなりエロいので背後注意!です笑

 

濃厚官能童話だけあって口絵の肌色率は100%な上に、アングルも凄いです。

 

カフェや電車で読むときはメモ帳用紙を一枚持っていくといいかも。そうすれば挿絵を隠しながら隣のページの文章を読むことができます。

 

 

 

童話BLシリーズ三作目。

 

 

 

 

あらすじ。

 

継母の家族の下で不遇な生活をしていた青年エラルドは、ある時、森をお忍びで散策していた第二王子シャロンと出会い、天使のような愛らしさにたちまち恋に落ちる。一方、シャロンは弟を偏愛する兄王子に束縛されていて、真の友人を求めていた。運命的に出会った二人は森の離宮で逢瀬を重ね、いつしか秘密の恋に溺れていく。そんな折、城で舞踏会が催される。シャロンに会いたい一心でエラルドは城へ向かうが、弟との仲を知った兄王子の逆鱗に触れ・・・!?大人気濃厚官能童話!

 

 

【感想】 

このお話は攻めが「シンデレラ」という他では見かけたことのないパターンで新鮮でした。攻めのエラルドが継母から不遇な扱いを受けつつも真っ直ぐな性格の青年に育っていることが奇跡です。シリーズの中で1番正統派な王子さまらしい性格でとても格好いいです。シャロンとお似合いでとても好きなカップリングでした。

 

犬飼せんせいが、シャロンの長い髪の毛を巻き毛にしてくれてのでシャロンの髪の毛がくるんくるんしていてとても可愛いのでそこも好き。

 

話全体の流れは全シリーズの中で、1番ダークなお話で犬飼先生らしい仄暗さがあってとても面白かったです。

 

・・・・秘密も罪も、私が、・・・地獄に、持っていく

 

 

 

 

貴方となら、罪を増やして地獄に落ちても構いませんが

 

 

 

 

ありがとう・・・・でも、大丈夫だよ。私は他人だからね

 

 

一緒にいられるのは生きている間だけになってしまうが、それでもいい。

 

天使はやはり天国へ行くべきだ。ただ一つの罪なら、神はきっと許してくれる。

 

死してなお共にいることはできないけれど・・・・・せめてこの世で二人ーーー否、三人で、異端の愛に溺れていたい。

 

 

 

 

後半〜ラストシーンまでの流れがドロドロ兄弟愛で、凄く好き。そして、それをシャロンには告げないでエラルドは罪を隠したままシャロンの愛を手に入れるなんて背徳的で最高でした。もしシャロンが真実を知ってしまったら、どうなってしまうのか?描かれることはないけれど、真実を知ったパターンまで妄想してしまったりします。ドロドロとした執着心と切なさが混ざり合っていて、とても面白かったので、何度も読み返している本です。

 

 

 

官能童話BLシリーズ4作目。

 

あらすじ

ヴァルセント王国の皇太子・リルは、母親代わりの祖母の女王から贈られた赤いマントを大切にしていた。そのお礼にお菓子を作るため、森に住む先代の料理長を尋ねるが、その途中で暴漢に陵辱されそうになった所を銀髪の美しい青年・クラウスに助けられる。異質な風貌の彼にも無警戒なリルを嗜めるように、唇を奪うクラウス。その官能が忘れられず、リルは度々森を訪ね、逢瀬を重ねるように。しかし国を脅かす悪しき狼に捧げる贄として、王族であるリルが選ばれてしまい・・・・・!?

 

 

 

【感想】

まず最初に笠井あゆみ先生の口絵が最高にエロかったです。全てが丸見えなので、カフェや電車で読むときは背後注意です!笑

 

童話の中の赤ずきんちゃんにはか弱いイメージがありますが、リルは見た目は可愛い美少年だけど中身はシッカリした子で攻め様よりも格好いい青年になりそう。

 

攻めのクラウスは狼なので、リルが持っていた上等なバターが大好きで、本能が強まるとケモミミと尻尾が出てきてしまうところがとても可愛いい。

 

城を囲むストロベリースノーなども異世界を感じられてシリーズの中では赤ずきん王子の世界観が1番好きです。このふたりのお話もっと読みたくなりました。

 

 

「もう黙ってください。今夜もバターと一緒にお召し上がりいただければ光栄です」

 

 

 

 

 

この二人といえば、バター✨✨

 

読み終わった後は、いつも美味しいバターが食べたくなります。

 

 

官能童話BLシリーズ五作。

 

 

あらすじ

愛憎の果てに国王に幽閉されていた薔薇の妖精・フィセの許に、ある日王子のオーレリアンが訪れる。心を閉ざしても、健気に自分の元を訪れる王子の愛らしさに、次第にフィセは心を慰められていく。17歳になったオーレリアンは、必ずフィセを開放すると誓い、父王へ懇願する。しかし、フィセに執着する父王と激しく争った彼は、鍵を奪ってフィセを離宮へ攫い、二人で生きていこうと愛を告げる。激しく求められ体は換気するが、過去の恋の疵がフィセを臆病にさせて・・・?

 

 

【感想】

シリーズの中で一番優しいキャラと優しい終わり方でした。ドロドロしてなくて、ラストシーンがお伽噺のようにキラキラしていた。

 

フィセは酷い失恋の仕方をしていて心に負った傷が深くて、最初はどうなってしまうのか・・・・・フィセが心配で見ていられなかったけれど、オーレリアンが純粋で一途で、初めて会ったときから、フィセのこと好き!ってフィセの閉じ込められている牢屋の前に来てくれるのが本当にいい子すぎて・・・・!

 

フィセの心を癒やしてくれてありがとう!ってなった。

 

 

 

私は知っている。真実の愛など幻に過ぎないことをーーーー。

 

これが愛だと思っても、時が経てば気の迷いだったと気づく。

 

恋も愛も、愚か者が罹る流行り病のようなもの。

 

一度罹って全癒したあとは、もう二度と罹りはしない。

 

太陽の王子オーレリアン、私が何を受け入れても思い違いをしないで。

 

私が貴方の口づけを拒まずにいるのは、この唇が薔薇の花弁のように美しいから。

 

私が貴方の髪に指を絡めているのは、波打つ髪がとても滑らかで、太陽の光を集めた黄金のように煌めいているから。

 

妖精も人も、美しいものには惹かれる性。

 

きらきらと光るものを見ていたくなり、手触りのよいものには触れたくなる。それは誰もが持つ習性であって、特別な意味などない。

 

私を抱いても快楽以外の何も得られないことを、忘れないで。

 

真実の愛など存在しない。私は、貴方を愛さない。

 

 

 

っていう冒頭シーンがあって「私は貴方を愛さない」それほど、フィセの傷が深くて悲しい。そんなフィセが変わっていくオーレリアンの愛の深さを見てほしい。

あと、表紙にもいる黒猫さんが喋ります。とっても可愛いです。

官能童話シリーズはこれで終わりみたいです。続きが出てくれることを密かに期待してます♡